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辻村深月著「V.T.R.」のあらすじと紹介。 あらすじに於いて、作中等からの引用部分は「」又は『』内に表記。 紹介は完全に主観と言うか、好みと偏見で書いているので注意。 既読の方向けの勝手な感想はこちら(同じく偏見注意) ![]() あらすじ。 「マーダー。 国によって殺人を認められた、きっかり1000人のダークエリート。 見た目も仕事ぶりも超一流のマーダー・アール。 自他共に認める腑抜けのマーダー・ティー。」 ある朝ティーの元に、一本の電話がかかってくる。 コール音はトロイメライ。 アールと別れた3年前から変えてない、そして3年ぶりに聞く、アール専用の着信音。 『いい?ティー。 あなたは多分、今からアタシの噂話をたくさん聞くことになると思う。 信じられないくらい酷い話』 『その中には真実もあるし、多分そこから派生した嘘もある』 『ティーにだけは知っておいて欲しいと思って。 アタシは変わっていない。 ティーと暮らしてた時のまま』 それだけを伝えて、通話は途切れた。 二度寝の後、ティーの発信に答えたのは、アールではなく解約通知。 久しぶりに街に降りたティー。 山中深くにあるティーの家は、マーダーであった両親及び祖父母の形見だ。 そして、財布にしまったマーダーライセンスも。 幼い頃、仇討ちで家族全員を亡くしたティーは、試験管側の同情心もありライセンス取得試験に合格。 祖父のライセンス番号を引き継いだ。 ポケットにマーダーライセンス、懐に友人J作の銃をしまい、ティーはバイクに跨がる。 街で買い出しを終えたティーが向かった先は公衆電話。 壁に貼られたチラシの山、その奥にひっそりと隠された電話番号は、三流情報屋テッドのものだ。 アールに惚れていたテッドは、3年前に彼女が街から姿を消した後も、その行方を追っていた。 そんな彼から聞いたアールの行動。 売春組織での荒稼ぎ、そして、トランス=ハイのファミリー達の殺害。 「トランス=ハイ。 詳細が一切不明と噂されるこの国のナンバーワン・マーダー。 マーダーライセンスナンバー337番の別名。」 「ただ一人で実績を上げ、毎年の確定申告リストには、シャレにならないような大物の名前がたくさん並ぶ。」 「トランス=ハイは物凄く特徴的で、個性的な殺し屋だ。」 男は躊躇無く殺し、女は一切殺さず大怪我を残す。 生き残った女達の証言曰く、「銃もナイフも、まるでおもちゃのように嬉しそうに扱う」「生まれながらの人殺し」。 「そして、仕事が見事だ。 証拠をほとんど残さない。」 そんな337番がうっかり落とし、現場に残された麻薬トランス=ハイ。 これに因んでトランス=ハイの名がついた。 そしてここ数年、彼は誰も殺していない。 代わりに上位を占めるのが、トランス=ハイの名を借り掲げたマーダー達。 アールは彼らを順に殺している。 ポルカ・ドット。 アールの友人Sの店。 スランプに苦しみトランス=ハイに自殺幇助を依頼したが、視力のみを奪われた元画家の彼女は、目の治療の為にカフェを営む。 その2階には、ストロベリー・ストロング・ファクトリー。 Sの恋人かつティーの友人Jの銃工房。 幼い頃にトランス=ハイの襲撃を受け、目の前で家族全員を惨殺された施設育ちのJは、それでも銃を愛し銃を作る。 少し離れて、ガーデン・バーデン。 自身も引きこもりの箱庭療法専門セラピスト、アールの友人Aの会社兼自宅。 彼は麻薬の後遺症に苦しむ人を減らそうと、毒性と依存性のない合法ドラッグ・トランス=ハイを作り出した。 久々に訪ねたティーの耳に入るのは、荒廃したアールの姿。 多額の借金、ツケで買った大量の銃とありったけのトランス=ハイ。 そして、友人達のアールへの思い。 『なぁ、ティー』 『アールを探してやるんだよね?』 『それをアールが望むなら』 Aの元でアールが最後に作った箱庭、そこに描かれていたのはエデン。 生きたまま捨てられたロボット達の朽ちる場所、そしてアールとティーが毎週の様に通った所。 ティーが3年ぶりに訪れたエデンは以前と変わらず、そしてそこにはペロッチが居た。 「ペロッチSUN215。 アールの一番のお気に入りだったロボットで、ここエデンでも一番の旧型、一番の古株。」 故障していたペロッチを直す為、ティーはペロッチをJの元に連れて行く。 旧式のペロッチに搭載されたVTR、そこには現在の、ありのままのアールの姿が映っていた。 「『誰かを思う』ということをテーマに書いてみたくなったので、書きました。ーーー辻村深月」 人々の思いの形を描いた作中作。 紹介。 主観に満ち満ちているので注意。 不当な評価だと、不快に思われた方はすみません。 「V.T.R.」は「スロウハイツの神様」の登場人物、作家チヨダ・コーキの著作として書かれた作中作である。 読む時には、是非この事を念頭に置いて欲しい。 私が思うに、辻村作品の特徴及び魅力は主に ・独特な目線からの丁寧な心理描写 ・伏線の折り込み方 ・ストーリーの根幹とは関係のないサービス的な伏線の存在 ・それらの伏線の回収率の高さ ・どこか親しみと存在感のある登場人物 による物なのだが、「V.T.R.」に同様の魅力を期待すると、期待はずれになりかねない。 単に辻村作品だから読んでみようと考えている方や、ミステリを期待している方には余りお勧めしない。 辻村作品だけでなく、作中作含めてスロウハイツが好きな方や、作家チヨダ・コーキもしくは登場人物としてのコウちゃんが好きな方に読んで貰いたい作品である。 また、ダブルカバーやチヨダブランド仕様のデザインが結構丁寧に作られているので、作中作というメタフィクショナルな存在が好き、と言う方も楽しめるだろう。 ライトノベル特有の、設定やストーリーの一端をイラストの細部に見つける楽しみも多少ある。 昨今の単発ライトノベル作品と比較評価すると中々の良作。 ただ、最近のラノベの傾向(萌え要素重視、キャラや設定のテンプレ化、擬音や口語を地の文に過剰に取り入れる、等。偏見すみません)が余り私の好みではないから、相対評価は甘めかも。 ラノベとして絶対評価するとこんな感じ。 マイナス点 ・伏線が単純(途中で展開が読める) ・序盤、主人公の感情が解り辛い(地の文は主人公一人称) ・Rの動機が最後まで不明 ・都合の良い、又は曖昧な設定が多い プラス点 ・伏線完全回収 ・伏線回収前後で、同じ言葉でも意味合いが違ってくる構成 ・枚数・人物数の割に人格描写が丁寧 ・章立てが単純だけど上手い その他 ・ハッピーエンド好きには不満な展開かも ・一段組み(ノベルスの二段組みに慣れてる人は違和感有ると思う。文庫慣れしてる人には逆に読みやすい) ・イラストは表紙と目次のみ(目次絵は表紙の使い回し)(善し悪しは好みの問題かなと。倉花千夏さんのイラスト目当てだけで買うと物足りないかも) ・179ページ、ダブルカバー、780円(薄い割に高いと見るか、ダブルカバーの割に安いと見るか) 作中作・辻村作品としては ・ほんの少し、他の辻村作品との共通ネタ(施設、ウサギ等) ・「スロウハイツ」中のコウちゃんの作風説明(「V.T.R.」の帯に引用されてる部分等)と、イメージ合わない人が居そう(デビュー作だから、チヨダ・コーキと言うより千代田公輝のイメージで書いたんじゃないかと、私は勝手に想像している) 結論。辻村作品としては下、ラノベとしては中、作中作としては上。 純粋に「辻村深月の作品」を求めている方は、買わない方が無難。 私は作中作としての仕様(ダブルカバーや奥付等)だけでもかなり楽しめたので、コウちゃん好きな同類の方にはお勧め。 また、何かラノベ読みたいけどイラスト買いで失敗するのは避けたい、と言う方にもお勧めしたい。 ![]() ランキング参加中。クリックお願いします。 |
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「V.T.R.」辻村深月
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粋な提案 2011/02/25 17:02 |
辻村深月 「V.T.R.」
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ゼロから 2011/06/29 23:37 |
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こんにちは。同じ本の感想記事を |
藍色 2011/02/25 17:22 |
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